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「ファド無形文化遺産登録」これから何をするの?-その3 [ファド 無形文化遺産]

ご無沙汰してしまいました。

それもこれも、面白すぎた「全豪オープンテニス」のせいです。

仕事から帰ってご飯を作った後は、もうテニス漬けの日々でした。

錦織くんに始まり、ナダルとジョコで終わる。ああ、もうたまらん。

あ、すみません。 

では、前回の続きです。

 ***ここから訳文***

5.           目録に収録されている要素(基準R.5参照)

ファド博物館は1998年に設立されてから、取得した写真、楽譜、詩、楽器、

レコード盤、職業に関する資料、書籍、ファドの雑誌、とりわけ数々の証言を

体系的に目録化してきたが、そのほとんどは私人もしくはファドコミュニティの

団体から寄贈されたものである。この目録には現在、18,205項目の登録がある。

内訳は、書籍441冊、ファドの雑誌1396冊、写真5517枚、ポスター2123枚、

ファドの詩2123、楽器317台、視聴覚記録317、職業に関する資料(契約書、

職業免許書(※訳者注:ファド歌手や演奏家が免許制だった時代があった))、

レコード盤2572枚、楽譜2321種類、衣装32枚、メダル・トロフィー61個、そして証言。

これらのコレクションのほとんどを寄贈している割合は、ファド歌手(51%)、

演奏家(17%)、作家-作曲家・詩人(13%)、団体及びカザ・ド・ファド(13%)、

収集家(6%)である。.2005年から、ファドの保護、研究、調査、遺産登録の実現

のため、戦略的に協力関係を結ぶことをめざして、広範囲にわたっての公立と

民間の博物館・美術館の所蔵品とファドの研究に関するコレクションを持つ

資料館の膨大な目録にも手を伸ばした。ファドのレコード盤データベースは、

まだ構築中であるが、その一部はすでに公開されアクセスできる。URLは、

http://www.fcsh.unl.pt/inet/basesdedados/fonogramas/pagina.html, 

現在15000以上のエントリーがある。

これらの目録は、すでに必要な国の法律をすべて公布しているポルトガル文化省が

動けばすぐに、何時なんどきでも、将来のポルトガル無形文化遺産の国家目録に

移行される準備は出来ている。 文化省は、国家目録を遂行し承認する責任を持つ

機関としての性質上、目下の登録申請について、公式な関与と指示を表明している

 資料a.               登録に必要な補足資料

 主要な資料補足資料
写真最新の写真10枚(評価に必要)最大30
ビデオ編集されたビデオ (最大10) (評価と視覚的認知を大いに助成する)最大60
音声-最大60
地図-最大3
書籍-最大3

残念ながら、「補足資料」カテゴリーにある最大数を超える資料はUNESCOに受理されない。

送付する資料は、主要資料と補足資料を明確に分けよ。受理した資料は送信元の国には返還されない。

c.               追加資料一覧(※原文のままです。ファド博物館のショップなどで購入できます。)

Brito, Joaquim Pais de (Dir.), Fado: Vozes e Sombras, Lisboa, Lisboa 94/Electa, 1994.

Castelo-Branco, Salwa El Shawan e BRANCO, Jorge Freitas, Vozes do Povo, A Folclorização em Portugal, Lisboa, Celta, 2003.

Castelo-Branco, Salwa El Shawan, Enciclopédia da Música em Portugal no Século XX, 4 volumes, Lisboa, Círculo de Leitores, 2010.

Carvalho, Pinto de, (Tinop) História do Fado, Lisboa, Empresa da História de Portugal, 1903, reed.

Prefácio de Joaquim Pais de Brito, Lisboa, Publicações Dom Quixote, 1984.

Carvalho, Ruben de, Um Século de Fado, prefácio de Rui Vieira Nery, Lisboa, Ediclube, 1999.

Chougnet, Jean François (Coord.) Amália Coração Independente, Lisboa, Museu Berardo, 2009

Colvin, Michael The Reconstruction of Lisbon: Severa’s Legacy and the Rewriting of Urban History. Lewisburg: Bucknell University Press, 2008

Elliot, Richard, Fado and the Place of Laughing: Loss, Memory and the City, London, Ashgate, 2010.

Gallop, Rodney, The Fado in ‘Portugal A Book of Folk Ways’, Cambridge Press, 1961.

Gouveia, Daniel, Ao Fado Tudo se Canta? Lisboa, DG Edições, 2010

Halpern, Manuel, 2004, O Futuro da Saudade: O Novo Fado e os Novos Fadistas, Lisboa, Publicações Dom Quixote;Kalvathi, Mimi, Saudade: an Anthology of Fado Poetry, London, Gulbenkian Foundation, 2010

Lima, Paulo, O Fado Operário no Alentejo, Tradisom, 2004.

Morais, Manuel (coord.) A Guitarra Portuguesa, Actas do Simpósio Internacional, Universidade de Évora, Évora, Estar, 2001

Moura, Vasco Graça Amália: dos Poetas Populares aos Poetas Cultivados, Lisboa, Tugalnad, 2010

Nery, Rui Vieira, Para Uma História do Fado, Lisboa, Público, Corda Seca, 2004.

Nery, Rui Vieira, Amália Nossa, Lisboa, Público, Tugaland, 2009

Nery, Rui Vieira, Pensar Amália, Lisboa, Tugaland, 2010

Pais, José Machado, “O Enigma do Fado e a Identidade Luso-Brasileira,” Ler História, nº 34, 1998.

Pereira, Sara (coord.) Carlos do Carmo – Um Homem no Mundo, Lisboa, CML, EGEAC/Museu do Fado, Lisboa, 2003.

Pereira, Sara (coord) Museu do Fado 1998-2008, Lisboa, CML, EGEAC/Museu do Fado, 2008

Pereira, Sara (coord.) As Mãos que Trago, Alain Oulman (1928-1990), Lisboa, CML, EGEAC/Museu do Fado, Lisboa, 2009

Pimentel, Alberto, (1904), A Triste Canção do Sul: Subsídios para a História do Fado, Lisboa, Publicações Dom Quixote, 1989.Santos, Vítor Pavão dos, Amália: uma Biografia, Lisboa, Contexto, 1987, (2ª edição 2009).

Sucena, Eduardo,  Lisboa, o Fado e os Fadistas, Lisboa, Veja, 1992

Tinhorão, José Ramos, As Origens da Canção Urbana, Lisboa, Caminho, 1997.

Vernon, Paul, A History of the Portuguese Fado, Ashgate, s/d 

情報連絡窓口担当者

Dr. António Costa
The Honorable Mayor of Lisbon, Portugal

Dra. Catarina Vaz Pinto
The Honorable Cultural Councillor of Lisbon, Portugal



a.               関連管轄団体

EGEAC EEM/ファド博物館Dr. Miguel Honrado
CEO/ President of the Boarding Administration  - EGEAC EEM

Dra. Sara Pereira
Director of Museu do Fado

b.               関連するコミュニティの組織とその代表者

文化人類学協会Instituto de Etnomusicologia - 音楽・舞踏研究センターCentro de Estudos em Música e Dança
Prof. Doutor Rui Vieira Nery (Chairman of the Scientific Committee) and Prof. Doutora Salwa El-Shawan Castelo-Branco (Director of INET)


Faculdade de Ciências Sociais e Humanas da Universidade Nova de Lisboa,

ファド愛好会 Associação Portuguesa dos Amigos do FadoJulieta Estrela Castro

ファド・ポルトガルギター研究会 Academia da Guitarra Portuguesa e do FadoEngº Luís Penedo

アマリア・ロドリゲス生家博物館 Fundação Amália RodriguesDr. Américo Lourenço

Associação Fonográfica PortuguesaDr. Eduardo Simões

Sindicato dos MúsicosDr. Adriano Aguiar

Sindicato dos Trabalhadores das Artes do EspectáculoDra. Carmen Santos

SPA – Sociedade Portuguesa de AutoresDr. José Jorge Letria

Confederação Portuguesa das Colectividades de Cultura, Recreio e DesportoDr. Augusto Flor

INATELCarla Raposeira

Instituto de História da Arte
Prof. Doutor Vítor Serrão
Faculdade de Letras da Universidade de Lisboa

Instituto de Museus e ConservaçãoProf. Doutor João Brigola

ポルトガル国立図書館Biblioteca Nacional de PortugalDr. Jorge Couto

ポルトガル国営放送RTP – Rádio Televisão portuguesaGabinete de Estudos e Documentação da RTPDr. Pedro Braumann

Rádio AmáliaLuis Montez

***ここまで***

これ以降、協力団体や個人のリストが続くのですが、割愛します。

原文を見て、知っている名前などあればほくそ笑んでください。

さて、では「ファドの無形文化遺産登録」で何が変るのか?

訳していて、特に「教育」のところに興味を持ちました。

国内の教育カリキュラムの中に、ファドを組み込む計画の一環に、

「ポルトガルギター製作者」の育成がありました。

そう、ファドにもっとも必要なものは何か?ファドをアイデンティファイする

ものは何か?と考えたとき、やはり「ポルトガルギター」ではないかと

思ったからです。歌手は、ポルトガル語が話せて、歌が上手ければ

つまりポルトガル人で歌が上手ければ、なれちゃいます。

なれちゃったわ、みたいな歌手はけっこういます。

でも、ポルトガルギターは、ポルトガル人だから弾ける、というものでは

もちろんなく、楽器もポルトガル人だから作れる、わけではないのです。

彼らが作ったり、弾いたりできなくなったら、ファドはなくなると思います。

現に、弾き方が分からない人たちは、ポルトガルギターの調弦を

普通のギターと同じにして弾いています。でもこれだと、ファド独特の

手合いは表現することはできません(さすがにポルトガルには

いないと思うけど、国外には結構いたりします。お土産屋さんで買って

趣味で楽しむ分にはまあしょうがないですけどね

それと、「詩」。ファドの詩だって、ポルトガル人だから書ける、わけでは

ないでしょう。日本人は全員、和歌や俳句を作れるわけではなく、

勉強が必要です。

そんな風なことを考えながら訳していました。そして、ファドはポルトガル人の

遺産、だけではなく、観光資源でもあり、それを生業にしている人々がが多くいる

商業音楽でもあります。保護対策がこれからなされていく中で、

ファドを職業とする人たちが増え、切磋琢磨することで、観衆により高い質の

ものを与えることができ、それによってアマチュアの愛好者も増えます。

そして観光客は、質の高いエンターテインメントに相当の対価を支払い楽しむ。

私にも、高い交通費を払って、時間を使って、聴きに行く価値のあるファディスタが

います。そんな人たちの未来にとって、この登録がよい意味を持ちますよう、

願うばかりです。

で、「同意書」を1枚訳す、と前回の記事では書きましたが、

ナダル対ジョコビッチの試合を6時間見た後は、もう何もする気力もなく。

その代わりといえばあれなんですけど、無形文化遺産登録に関する

映像を見つけました。こっちのほうが絶対面白いので(笑)。

解説も英語です。

ちょっと堅苦しい文章に疲れたので、次回は久々にポルトガルのテニスを

取り上げたいと思います。拙訳にお付き合いいただきありがとうございました。



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「ファドの無形文化遺産登録」。さてこれから何するの?-その2 [ファド 無形文化遺産]

その1の続きです。

ちょっと中途半端なところで終わってしまいました。

保護対策計画の内容でしたね。

***ここから訳文***

IV. 出版

以下の出版プログラムを遂行する:

IV.1. 歴史的なデータ (ファドの歴史に関する古典作品の複製出版物-分析や目録を含む);

IV.2.その他書籍(歴史に関する分析的なエッセイ、証言集、文献カタログ)、

音楽に関する情報 (複製印刷されている楽譜集と手書きによるファドの楽譜の写本);

IV.3. 詩に関する情報(ファド詩集);

IV.4.肖像画に関する情報(美術作品としてのファド肖像画集)

IV.5. 音源情報; ファドの歴史的なレコーディング(1900-1950年)についての解説書と

肖像画を掲載した充実した内容のブックレット付きのCDシリーズ, 

IV.6. ドキュメンタリー/視聴覚l;

期限: (それぞれの段階で); 2012;3

責任母体: CML, EGEAC/ファド博物館

予算: € 200,000

V. ファド巡回ツアー

目標: リスボン市内で行う、ファドをテーマとする巡回ツアーを推進する。プロやアマチュアのファドが

実演される会場も巡り、それらの会場を世に広め、新しい息吹を吹き込む。

活動:

 V.1.カザ・ド・ファドやクラブ-ファドという遺産が若い世代に日常的に引き継がれ、

昨今においても生きたファドのワークショップの場-で行われるイベントについて、

全国放送で流す、もしくは/また、広報宣伝を行う。;

V.2. テーマツアーをデジタル化または印刷して、配布・出版する。

V.3.街の有名なファド会場へのガイドツアーをスケジュール化する。

期限: (それぞれの実行段階において); 20127

責任母体: CML, EGEAC/ファド博物館

予算: € 80,000

VI. 広報活動・作品リリース

活動:

VI.1.Trovas Antigas, Saudade Louca: ファドの歴史についての初めてのTV放送-ファドのジャンル別、

6つのエピソードによるシリーズ(20109月放送)

VI.2.ポルトガルの各県庁所在地における、様々な世代のアーティストによるコンサート/ワークショップ;

VI.3.大学、博物館、文化センター、財団、その他の場所で、詳細な文書をリリースする;

VI.4.ファドのプロジェクトを遂行する海外の研究者の来訪を促進する。

VI.5. カモンイス・インスティテュートの協力のもと、各国の大使館や大学の教職員ネットワークを

通じてファドを世界的に広める計画を策定する。;

期限: 20131

責任母体: CML, EGEAC/ファド博物館

予算: € 150,000

 c.           関連するコミュニティ、グループ、個人の関与

代表リストへの登録申請は、ファドコミュニティの活発なサポートと参加により、着想・推進された。

ここで提案されている保護対策を定義し実行する際に於いて、それらの関わりを確かなものとする

ために、幅広い範囲のワークショップ・セミナー・会議・議論・インタビューが、ファド博物館で行われた。

進行中のプロジェクトは、個人の参加者や近隣・市民団体の代表者たちが強く関わり、

さまざまな情報元・個々の肖像画・重要な作品・実演などの識別作業に参加した。

保護プログラムは、ファド博物館のコンサルタント委員会-コミュニティと2つの主要な団体の代表者から

承認された歌手・演奏家・コレクター・研究者が寄り集まったものだが-から重要な資料を受け取ったが、

ここで提案されている様々な対策に関しては、自身の知識を次世代に確実に伝えていくであろう

多くの個人のアーティストたちも深くかかわっている。別表が示すように、個人のミュージシャン、

作家、楽器製作者、専門団体、市民団体のサポート宣言が、登録申請と提案された保護対策計画

におけるファドコミュニティの貢献と活発な関与を証明している。

d.           国家の関与

リスボン市議会とポルトガル文化省は、ファドを無形文化遺産代表リストへの登録申請に対して、

大いに心血を注いできた。そしてこの数年行われているすべての以下のような保護対策が示すように、

引き続きそのジャンルを広く知らしめ、保護していくことに貢献している。:

-リスボンが1994年に欧州文化首都に制定された際の文化プログラムにおいて、展覧会、書籍、

レコードの編纂、コンサートなどを促進した。

EUの財政支援(Programa Operacional da Cultura)のサポートを得たファド博物館の設立(1998

と展示エリア順路の改装(2008;

 

・一般市民と学生を取り込んだ、地域に根付いた活動の推進;

 

・ファドコミュニティや一流のファド演奏者個人の強い協力を得ながら広い範囲にわたって

情報収集プロジェクトを遂行する調査チームに対する資金援助

 

別表が示すように、目下の登録申請は、リスボン市議会、ポルトガル文化省の一致団結した、

あらゆる政治の力によるサポートを受けた。また、国民議会において満場一致で可決され、

ポルトガル共和国の大統領閣下の強い支援を受けた。

 3.                    コミュニティの参加とその登録申請プロセスにおける同意(基準R4参照)

a.                       コミュニティ、グループ、個人の登録申請プロセスへの参加

 

無形文化遺産代表リストへのファドの登録申請は、ファドが実演されているコミュニティの

活発な支援と参加によってなされた。提案された保護計画の準備は、広範囲にわたる

公開ワークショップ、会議、議論、インタビューを通して、また個人の有名な一流演奏家たちの

貢献を通して、コミュニティが活発に参加することによって遂行された。

 

2005年から進められている調査には、分野に属する人々(演奏家、作家、コミュニティのリーダー)

から集めた口頭証言の収集、関連する保存データの識別と目録化、歴史的データの批評解釈、

収集したすべてのデータを網羅したデータベースの作成等が含まれている。

調査チームには、年配の教授や大学院生だけでなく、ファドコミュニティそのものに集まった演奏者や

作家も含まれた。さまざまな、戦略的協力協定が、ファドの研究に関連するコレクションを所有する

公的機関・私人の間で結ばれた。最も代表的なこの分野の専門団体も含まれている。

 

登録申請は最終的に、有名な専門家たち(ルイ・ヴィエイラ・ネリ-議長、

Salwa El-Shawan Castelo-Branco – INET、サラ・ペレイラ-ファド博物館)が所属する科学評議会が、

一流のファド従事者たち(カルロス・ド・カルモ、ヴィンセント・ダ・カマラ、ジルベルト・グラシオ、

ダニエウ・ゴウヴェイラ、アントニオ・シャイーニョ、ルイーザ・アマーロ)がメンバーに名を連ねる

コンサルティング委員会、もしくは市民団体の代表者たち(ポルトガルギター・ファド研究会から

ルイス・ペネード、ファド愛好会からルイス・デ・カストロとジュリエッタ・エストレーラ)の熱心な

参与を得て、行った。

 

b.                      登録申請に対する、無償・事前のインフォームド・コンセント(同意書)

 

別紙に示されているように、コミュニティはファドの登録申請を承認し、その保護対策への関与、

つまり提案された方法・活動に積極的に参加することを明示しこの芸術を維持、保護、研究し、

未来の世代へと伝え継ぐめざす。

 別紙参照のこと。 

c.                       アクセスを管理する慣例の尊重

 

ファドは、本質的に、コミュニティ全体に開かれた、身近な形で行われている。

保護対策計画で目録、データベース、出版物が整備されることで、このジャンルの歴史や

現在行われていることについての情報に一般の人がさらにアクセスしやすくなるだろう。

***訳文終わり***

実際にお会いしたことがあったり、名前を知っている人たちが登場すると、

堅苦しい文書が、少し身近に感じられて、ホッとします。

次回は、残りの部分と、同意書を1つピックアップして訳してみます。

同意書は、 UNESCOの

Fado, urban popular song of Portugal

にある、"Consent of Communities" というリンクをクリックすると、

膨大なページ数のPDFをダウンロードすることができます。

誰か知ってる人のを見つけて、やってみます。

 


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「ファドの無形文化遺産登録」。さてこれから何するの?-その1 [ファド 無形文化遺産]

あまりにタイトルが長くてウザい、

って言われたわけではありません。

が、区別がつかないんで変えました。

さて、今回は、これからファドをどう保護していくか?の部分。

いちばん知りたい点です。

ファドが無形文化遺産に指定されたニュースを聞いたとき、

なんとなく「絶滅危惧種」という言葉を思い浮かべてしまった

嫌ぁ~な私でしたが、なんと!登録基準の中に

「消滅の危機」という項目があったのだわ!

そう、若い人がファドを職業としなくなってしまったら、

なくなってしまうのですよ。

そうならないように、いろいろ対策を考えて、それを世界に

知らしめるために、今回の登録への活動があったのだ、と

いうことが、分かってきました。

では、続きを...

***ここから訳文***

3.保護対策(基準R3参照)

a. その分野を保護するための最新の取り組み

現在保護対策を実施している中心は、ファド博物館である。

ファド博物館は1998年、リスボン市議会によって、歴史的地区である

アルファマ(ファドが実演されている中心的コミュニティのひとつ)の

近辺に創立された。博物館は、遺産としてのファドとポルトガルギターの維持、

保護、調査、実現と広報宣伝に全力を尽くしており、地元の街と深く交流

している。博物館の所有財産、特徴的なコレクション-レコード、

肖像画、楽器、その他の音楽工芸品等-はそのほとんどが、何百人もの歌手、

作曲家、詩人、演奏家、楽器職人、コレクターや専門家の、もしくは彼らの

家族や遺族、近隣の団体や草の根グループからの寄付によるものである。

2009年には、リスボン市と文化省から取得した5000ものファドの歴史的音源が

コレクションに加わった。博物館は、このジャンルのトップの人材を講師とする、

スクールでのワークショップや非公式な教育も用意している。

また資料センターやホールも完備しており、そこではコンサート、講演、

ワークショップ、ディベート、レコードや書籍の発売などのプログラムが、

一般の人々だけでなく街中の小学生や中学生にむけて熱心に行われている。

ファド歌手たちの、一般向けワークショップは、リスボンや地方各地の

いろんな地域の集会で行われている。毎年平均約35000人の訪問客が

これらのアクティビティに参加している。リスボン市議会は2004年から、

「フェスタ・ド・ファド」を助成している。これは毎年恒例の、町全体に向けての

大規模なパフォーミング・イベントである。また、海外での、特に大きな

ポルトガル語圏コミュニティのある町での、ファドの演奏を定期的にサポート

している。2007年上映のカルロス・サウラ監督の映画「ファド」を、

財政面でサポートした。この映画は世界各国で広く上映され、

この伝統音楽をさらに多くの人に知らしめた。 2005年から、

Instituto de Etnomusicologia文化人類学協会(Universidade Nova

 de Lisboa新リスボン大学)の協力を得て、主要なファド歌手、演奏家、

楽器製作者へのインタビューを含んださまざまなプロジェクトが実施された;

-あらゆる公私機関(図書館、公的なアーカイブ、音源アーカイブ、博物館、

 地域の団体、個人のコレクション等など)が所有しているファドの歴史にかかわる

 あらゆる種類の文献を集約し、ひとつのデータベースにまとめ上げること、

-過去の歴史的な情報源を、徹底的に調査し、再版し、じっくり解釈すること、

-ファドの歴史的遺品を保護するための適切な方法に関する、情報のガイドラインを広めること。

調査プロジェクトの中で、すでに進んでいるのは、国際的会議である

Fado, Percursos e Perspectivas, (2008)」の組織化と、膨大な数の

ファドとファド演者が登録されている「Enciclopédia da Música em

Portugal no Século XX’ (2010)」の出版と、誰でもアクセスできる

オンライン・データベース「Música Popular Portuguesa’ (2010)」の

設置である。また、博物館はポルトガル国営放送のRTPと共同で、

ファドの歴史をたどる6時間にもわたるドキュメンタリー「Trovas Antigas,

Saudade Louca (2007-09)」を制作したり、ファドに関する様々な出版物

-ルイ・ヴィエイラ・ネリの「Para uma História do Fado 」(2004年。

2007年イタリア語翻訳版。英語版・ポーランド語版は現在準備中)も含む-

のための肖像判定を行ったりしている。

 b.  提案された保護対策

リスボン市議会は、文化省のサポート、また関連するコミュニティの強い協力を得て、

長期的な保護対策計画を定めた。

以下に、2010年~13年における第一段階を記す:

I.  アーカイブ・ネットワーク

ファド研究関連するコレクションを保持する、博物館や所蔵を

広い範囲で包含する組織化された連携ネットワークを実現し、ファド遺産の保護、研究、

調査、達成のための戦略的な協力関係をめざす。

このネットワークには以下の機関が含まれる;ファド博物館、国立図書館、

RTP(ポルトガル国営テレビ)とRDP(ポルトガルのラジオ局)、Museu da Música(音楽博物館)、

Museu Nacional do Teatro(国立劇場博物館)、Museu Nacional de Etnologia(国立民族博物館)、

Museu José Malhoa(ジョゼ・マリョーア美術館)、Museu de Arte Popular(民芸博物館)、

Fundação Amália Rodrigues(アマリア・ロドリゲス生家博物館)、Cinemateca Portuguesa

(シネマティカ・ポルトゲーザ)、Museu da Cidade(市立博物館)、

Fonoteca Municipal de LisboaVoz do Operário Sociedade Portuguesa de Autores,

Sindicato dos Músicos;

期限: 201012

責任団体: リスボン市庁舎,ファド博物館EGEAC

予算: € 35,000

II. ファド・レコード盤のデジタルアーカイブ

目標:      さまざまな所蔵や博物館にある現存するレコード盤についての情報を収集し、

783345回転レコード盤のデジタルアーカイブを作成する

活動:      さまざまな団体に存在する、ファドの783345回転の塩化ビニール製レコード盤の

コレクション(新たに購入された5000種類の78回転レコードを含む)をデジタル化し、保管し

、データベースに登録しシステム化する。

期限: 201312

責任団体: リスボン市庁舎,ファド博物館EGEAC

予算: € 500,000

III. 教育プログラム

目標: すべての教育段階-第1学年(6歳)~第12学年(18歳)-において、

ファドの分野と歴史に関する情報を、段階的横断的に統合することを目指し、

それによって学術的・科学的視点と、ファドの知識とファド・コミュニティ

(歌手、演奏家、作家、楽器製作者)への真の参加を組み合わせる、「教育計画」を実践する。

活動:

 III.1. ファド博物館スクール: ポルトガルギター、ギターのワークショップ、ファドの詩についての

セミナー、ファドの歌唱ワークショップ。

III.2. ファド博物館ワークショップ: ファド・コミュニティ内の省察やディベートのための定期的な場を

作ることをめざす講演やワークショップ。

 III.3. 通訳と様々な世代のミュージシャンによる、ファド博物館歌唱ツアー。

 III.4. ポルトガルギターの製作:ポルトガルギターの製作をサポートし、そのノウハウが

保護され、伝わり続けることをめざす

III.4.1. ポルトガルギター製作者であるジルベルト・グラシオとオスカー・カルドーソによって

選考された訓練者に与えられる、1年間以上の奨学金

  III. 4.2.ファド博物館の近くにある、歴史的な地域であるアルファマに、ポルトガルギター製作場を作る。

  III.4.3. ポルトガルギター製作者(guitarreiros)の職人技のために期間限定の展覧会を開催する。

  III.5. 1学年~第12学年を通しての教育プランを制定する。

  III.5.1.教材の作成

  III.5.2.講師・教師の教育セミナー

 III.5.3.リスボンの学校機関における教育の試験的プロジェクトを実践し、それらを地方や国内レベルに複製する。

 III.5.4.教育的な役割を活発に演じるファドのコミュニティと強く結びつきながら、ファド博物館への

定期的な社会見学を促進する。

III. 6.リスボンおよび国内の、教育プログラムにファドが組み込まれている演劇学校をサポートする。

III.7. 卒業までもしくは卒業後の大学プログラムにおける、博物館での技術的科学的専門訓練と

アーカイブ調査実習

III. 8.国際ファド会議を組織し-隔年で開催-学問的な見解と、作家、翻訳者、詩人など

 このジャンルの創作と普及に従事している人々の知識を結びつける

 III.9. 地元の団体やクラブなどのネットワークを使ったファド・コミュニティ研修を行い、

ファドという遺産を維持していくよい方法に取り組むセミナーの開催を促進する。

 III.10. 様々な分野の研究者によるファドのカンファレンスを計画する。

期限: (進行しているあらゆる段階において実施中のプロジェクト;2010年・2011年の学年度に

教育計画を遂行。) 2012年1月

責任団体: リスボン市庁舎,ファド博物館EGEAC、複数の学校とのパートナーシップ

予算: € 250,000

***訳終わり***

第1段階ですよ、まだまだ。

もうちょっと続きます。その3くらいまであるかなぁ。

でも、学校でどんなふうに12年間のカリキュラムに取り込むのでしょうね。

ちょっと想像がつきません。

では今日はこの辺で。


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なんで「ファドが無形文化遺産」なのか、っていうのを調べていくうちいろいろわかったこと-その2 [ファド 無形文化遺産]

 

さあ、ポルトガルのファド「無形文化遺産」登録にあたって、

今度はポルトガルが提出した、「Nomination Sheet」を

訳してみます。

すごく長くて、延々「ファドの説明」です。

けっこう観念的なような印象を受けますが、

ユネスコのCriteria(登録基準)に準ずる形で書かれているので

しょうがないかな。

あと、歴史的な背景。サラザール政権下でファドがどんな

役割を担わされたか、革命後どういう扱いを受けたか、

そして、どのように復活したかについては一切触れられてません。

まあ、申請書にそんなネガティブなことかいてもねぇ。

で、がんばったものの今回は、「保護対策」にまでは

いけませんでした。続きはその3で。。。

とにかく、ofが多すぎる原文で。。。読みづらかったごめんなさい。

原文読んでね。では。

***以下、訳***

人類の無形文化遺産保護のためのコンベンション 無形文化遺産の保護のための政府間委員会 201111月 第6回会議 バリ、インドネシア
2011年人類の無形文化遺産・代表リスト登録のための
ノミネーション・ファイル no. 00563 

A.        締約国(複数可)

 ポルトガル

B.                     分野の名称

 

(i)        英語もしくはフランス語による分野の名称

 

ファド、ポルトガルの都市における大衆歌謡

 

(ii)   関係する団体の言語・文字による分野の名称

 

Fado ファド

 

(iii)      分野の別称

 

都市における大衆歌謡 都市における歌謡

 

C.       分野の特徴

 

(i)      関係する団体、グループ、(該当があれば)個人の識別

 

ファドはリスボンのさまざまな地域で広く実演され、無数の町内会や

その他草の根グループ、個人、たとえばアーティスト(歌手、演奏者)、

作家(作曲家、詩人)、楽器職人、出版社、レコード会社、そして

その他そのジャンルに熟達する一流の支持者たちによって表現され

ているジャンルである。 ファドはプロが各地を巡業したり、小さな

「カザ・ド・ファド(ファドが演奏されるレストラン)」のネットワークの中で、

店の演奏家・歌手兼店員と演奏したり、それだけでなく、アマがリスボン

の旧い地域のいたるところに無数にある庶民の集まりの場で演奏している。

歌手と伴奏者によって演奏され、その伝承は日常的に伝統的な演奏

スペースにおいて、口頭で先輩から若手に対して行われ、親族の中で

何世代にも受け継がれていくことも多い。本ノミネーションとその中で

提案されている保護対策は、これらの団体、従事する人々の代表者たちが、

その構想と遂行において、大いに関わってきた結果によるものである。

(ii)    分野の地理的位置と範囲、関連する団体、グループ、個人の所在地

 

世界中の様々な場所で生まれ、過去のいろんな要素で構成されてはいるが、

ファドは生来リスボンで培われてきたものである。ラジオ放送開始の後

ほぼ同じ頃から、20世紀の3分の2の間にファドは国家的規模で広まった。

世界的に広まったのはもっと最近のことで、1950年代から70年代にかけて

である。 しかしながらファドは、今もリスボンの、アルカンタラ、アルファマ、

バイロ・アルト、バイシャ、マドラゴーア、モウーラリーアなどの古い地域では、

地元の日常生活の中に深く染み込んだ馴染みのものだ。ポルトガルの

他の町へも伝わり、同じように外国のポルトガル人移住者のコミュニティ

にも広がった。ファドはそれゆえに、今日まで、リスボンの生きている象徴

であり、まとめていえばポルトガルの文化的アイデンティティであるのだ。

(iii)                 分野によってあらわされる領域

 

        口頭で伝承され表現される。無形文化を伝える手段としての言語を含む。

 

        実演される芸術である。

 

        社会的慣行、儀式、祭事行事である。

  

D.       分野の概要

 

ファドは曲と詩を融合した演奏ジャンルで、リスボンの様々な地域で広く

実演されている。ファドは、アフリカ系ブラジル人舞踏歌謡、自国の伝統的

な歌謡や舞踏ジャンル、絶え間なく流れてくる移民によってもたらされた

地方の伝統音楽、19世紀初頭における国際都市で流行した音楽など、

多文化が混ざりあい生まれたものと言われている。ファドの歌は通常、

一人の歌手が歌う。男性・女性、ともに歌い、伝統的に鉄弦を張った

アコースティックギター1台とポルトガルギター(洋梨の形をした12弦の弦楽器で、

ポルトガルにしかなく、ソロ・インストルメント曲のレパートリーも豊富にある)

1台が伴奏する。ここ何十年では、2本のポルトガルギター、1本のギター、

1台のベースギターに拡張された編成も多くみられるようになった。

ファドは、プロが各地を巡業したり、小さな「カザ・ド・ファド(ファドが

演奏されるレストラン)」で演奏したり、アマがリスボンの旧い地域の

いたるところに無数にある庶民の集まりの場で演奏している。

その伝承は日常的に、伝統的な演奏スペースにおいて先輩から

若手に対して行われ、親族の中で何世代にも受け継がれていくことも多い。

海外公演などを通してファドが普及することによって、ポルトガルの

アイデンティティを象徴するものとしてのイメージを強めていき、

その結果、他の伝統音楽を取り込みながら、異文化間の交流を導いている。

 

1.                   分野の識別と定義 (基準 R.1参照)

 

ファドは通常、男性もしくは女性によって、独唱で歌われる歌であり、

伝統的に1台のポルトガルギターと1台のアコースティックギター

(両方とも鉄弦)が伴奏する。が、ここ何10年かは、伴奏が2台の

ポルトガルギター、1台のギター、1台のベースギター(もしくウッドベース)

で演奏されることもしばしばある。ポルトガルギターは、梨のような形をした、

シターンに分類される楽器で、12弦である。ポルトガルにしかなく、

アコースティックギターと共に、歌の伴奏のために特に使われるが、

多くのソロインストゥルメント楽曲もおおくある。このジャンルはもともと、

あちらこちらのアマチュアたちがインフォーマルな場で実演するものだったが、

その中から大多数のプロの演奏者が生まれた。しかし、プロとアマの間には

永久的な交流がある。若い歌手や演奏者は通常、日常的に口伝えでファドを

教わり、それは伝統的な実践スペース(町内会とかカザ・ド・ファドとか)

で行われる。親族の中で何世代にも受け継がれていくことも多い

年長の尊敬する先輩から日常的に教わるということは、ファドを伝承し

再生するプロセスにおいて、重要な要素である。ファドは19世紀の

2四半期からリスボンで発展し、リスボン市民のほとんどが、それが

町の文化遺産という重要な役まわりを持つことを認識してきた。 

また、その実演や表現を通じて、近代都市成立のプロセスや同時代

に起こった真実を映し出している。ファドの歴史は、世代から世代へ

伝承し、その歴史的社会的体制の中で継続的にファドを生み出しては

再生しつづけた様々なコミュニティ、グループ、個人の貢献によって

発展した。今日でも、ファドは今なおそのジャンルに属するすべての

個人と団体(歌手、演奏者、作曲家、プロであれアマであれ)に、帰属意識

継続意識を与えてくれるアイデンティティの象徴なのである。

1930年代から60年代初期まで、ファド界には多く一流パフォーマーがいた。

 アルフレッド・マルセネイロ、エルシリア・コスタ、ベルタ・カルドーソ、

エルミニア・シルバ、マリア・テレーザ・デ・ノローニャ、ルシリア・ド・カルモ、

カルロス・ラモス、フェルナンド・ファリーニャなどである。

彼らはそのレパートリーや演奏を再定義した。

海外でキャリアを気付いたのは、1950年代初期からのアマリア・ロドリゲス

であり、カルロス・ド・カルモ がそれに続いた。彼らは世界中の観衆を

ファドの虜にした。彼らやその他の先駆者たちは、若いパフォーマー

たちの偉大なる手本であり続けている。この20年の間ファドは、毎年

新たに生まれてくる多くの若く素晴らしい歌手、演奏家、作曲家、詩人

とともに、つねに膨らんでいく活力の象徴を示し続けている。

ファドは基本的に口頭で伝承される。それが書き残され始めたとしても、

記録された楽譜は、その演奏の特徴である無数にちりばめられた

「即興」をすべて拾い集めることは不可能だろう。

現在の作品の多くは、限られた数の伝統的なメロディに基づいており、

20世紀の大半の期間を通してそれは変わることなく残されており、

例えそれらの曲がたえず新たな形で演奏されてきたものであっても、

いまなおこのジャンルの中心をなすものと考えられている。

しかし、ファドの作品は新しい曲や詩によって常に増え続けている。

盛んに続けられる他の伝統音楽と多文化間の交流は、ファドが演奏

されるコミュニティの文化的アイデンティティを、常に再形成する役割を

再認識させるものである。

2.                   知名度・認知度の確保と、異文化間の対話促進に対する貢献
(基準 R.2参照)

 

ファドはそれが実演されるコミュニティの文化的アイデンティティを、

無形で表現するものとして重要な役割を演じている。そして、

その歴史を通して、また現在も、他の現存する伝統音楽と継続的に

創造的な交流ができることを示してきた。このジャンルの発展は、

その基本的なアイデンティティが周知・認知され続けるようにしつつ、

国内・国外レベルを問わない他の音楽ジャンル、特にアフリカや

ブラジルで生まれ、現在リスボンの住民数の重要な部分を占める

ポルトガル語圏コミュニティとの音楽との交流に対して、広く門を

さらに開いていくであろう。そういった意味では、このジャンルはますます

多民族化・多文化化している社会において、社会的にまとまり融合して

いくための何らかの戦略に、欠くことのできない一部分であるのだ。

代表リストにファドが登録されることにより、文化的多様性、異文化間

の対話の重要性が、そしてまたそういった枠組みの中での無形文化遺産

の中心的な地位が、より強く世界に認知されるであろう。

ポルトガル国内・国外のポピュラー音楽興行において、

ファドが今日成功を収めていることで、その役割が、国の文化的な

生活や国際的表現の重要な部分であるという認識が強まり、

その結果リスナーや従事者の数が相当な数に増えてきた。

ファドの「真贋」の基準を定めることは現実的ではなく望ましくもない。

それを実演しているコミュニティが定義しているように、それは過去に

おいてファドが常に内的変化を起こしてきたプロセスのどの局面にも

相当しないであろうし、あらゆる生きた芸術ジャンルにおいての、

新しい手法や創造性の自然な流れを妨げる、うわべだけの基準と

して見られるであろう。しかし、ファドの歴史的遺産の維持は、

多くの場合目下危機に瀕しており、間違いなく緊急課題であり、

その実践が継続され強化されることを確実にする取り組みにおける

重要要素である。単なる歴史的記録としてではなく、そのジャンルが

もつ本来の性質を知らしめ、ポルトガル人に文化的アイデンティティを

示すことができる、そしてこのジャンルへの新しい創造的なアプローチ

を刺激する、変ることのない源として。

 


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なんで「ファドが無形文化遺産」なのか、っていうのを調べていくうちいろいろわかったこと-その1 [ファド 無形文化遺産]

ポルトガルの「ファド」が、ユネスコの「無形文化遺産」に登録されました。

いろんなブログに皆さん書かれてる。

「おめでとう」「喜ばしい」というポジティブなものから、

「意味がわからない」「どう変わるのかわからない」という意見もあったり、

いろいろ。

でも、登録にいたる経緯とか、これからどうなるのか、

といったことを具体的に(日本語で)書かれたものがなかったので、

とりあえず、UNESCOのページに言って、Fadoのページを

読んでみました。

すると、けっこう面白かったし(なんか、推薦文が感傷的だなぁ、とか

歴史的事実がごっそり何気なく書かれてないなぁとか)、

それだけでなく、公開されている文書を読むことで、「ファドがどこからきて、

どう生きてきて、どこに行くのか」が、専門家によって書かれている

わけだから、(少なくとも現状における)「ファド」が理解できることに気づいたので、

訳してみようと思い立ち、余計なお世話だけど、ここに載せることにしました。

やっつけ仕事なので、多分誤訳もあるし、意訳しちゃってるところがあるので、

変だな、と思う人は原文も合わせて読んでみてください。

「その1」としたのは、登録におけるUNESCO側の公開文はともかく、ポルトガル当局側が

提出した資料がけっこうな量なので、小分けしてアップする予定だからです(現在、

ポルトガルが提出した「ノミネーション・フォーム」をちまちま翻訳中です。)

まず、そもそも「無形文化遺産」とは何か?これは、日本語のサイトがありますので、

そちらをご覧ください→ 社団法人日本ユネスコ協会連盟のページ

さて訳したのは、UNESCO Culture Sectorの中から見つけた(けっこう大変)、

Fado, urban popular song of Portugal です。

ここでは、ファドとは何なのか、というポルトガル側からのSummary of discriptionと

UNESCO側の基準をファドがどのように満たしたのかをざくっと知ることができます。

***以下、翻訳***

「ファド、都市における大衆歌謡」

2011年人類無形文化遺産の代表リストに登録。

: ポルトガル

詳細

Apercuファド、ポルトガルの都市部における大衆歌謡。

ファドは曲と詩を融合した演奏ジャンルで、リスボンの様々な地域で広く実演されている。

ファドは、アフリカ系ブラジル人舞踏歌謡、自国の伝統的な歌謡や舞踏ジャンル、

次から次へと流れ込む移民によってもたらされた、地方の伝統音楽、19世紀初頭における

国際都市で流行した音楽など、多文化が混ざりあい生まれたものと言われている。

ファドの歌は通常、一人の歌手が歌う。男性・女性、ともに歌い、伝統的に、

鉄弦を張った1台のアコースティックギターと1台のポルトガルギター(洋梨の形をした12

の弦楽器で、ポルトガルにしか存在せず、ソロ・インストルメント曲のレパートリーも

豊富に持つ)が伴奏する。

ここ何十年は、2本のポルトガルギター、1台のギター、1台のベースギターの編成に拡張

された編成も多くみられるようになった。ファドは、プロが各地を巡業したり、

小さな「カザ・ド・ファド(ファドが演奏されるレストラン)」で演奏したり、アマがリスボンの

旧い地域のいたるところに無数にある庶民の集まりの場で演奏したりしている。

その伝承は日常的に、伝統的な演奏スペースにおいて先輩から若手に対して行われ、

親族の中で何世代にも受け継がれていくことも多い。

海外公演などを通してファドが普及することによって、ポルトガルのアイデンティティを

象徴するものとしてのイメージを強めていき、その結果、他の伝統音楽を取り込みながら、

異文化交流を導いている。

書類

  • ノミネーションフォーム
  • 団体の同意書

***

ここでちょっと一息。

 

ここまでで、明らかにわかるのは、この「ファド」というのが、

「リスボンファド」を指すということ。ご存知の人も多いと思いますが、ポルトガルには、

「コインブラファド」という、まったく別の音楽ジャンルがあります。似ているのは楽器の

編成ぐらいで、こちらは学生街コインブラのコインブラ大学の学生が歌う学生歌、

青春歌、セレナーデで、男性のみが歌います。

私がなぜ、「今回の『ファド』にはコインブラファドも含まれるんだろうか?」って

疑問を持ってしまったのは、日本のポルトガル大使館の、今回の遺産登録にかんする

ニュースに使われている写真が、明らかにコインブラファドのものだったからです。(※【追記】この後、差し替えされたようです。)

「どうだかなぁ...」とは思ったものの、じゃあ世界各地の日本大使館の人たちが、

日本の「壬生の花田植え」について、どれほどのことを知っているのか?ってことに

なるので、しょうがないか、とも感じました。(それにしたって、「ファド」って

ポルトガル人にとって、日本人にとっての「壬生の花田植」よりは大きい存在ではないんで

しょうかね?)

先を続けましょう。次は選考基準です。まずそれについて書かれた章があったのでそこから

***

人類の無形文化遺産・代表リストへの記載基準

ノミネーション・ファイルに於いて、提出する国(複数可)は

人類無形文化遺産の代表リストへの登録を申請している分野が、以下の基準をすべてを

満たしていることを論証しなければならない。

R1その分野は、コンベンションのArticle 2に定義されているように、無形文化遺産に相当すること。

R2その分野が登録されることにより、その無形文化遺産の存在意義が大いに知られ、

また対話が促進される要因となり、結果、文化の多様性が世界中に示され、人類の創造性が立証されること。

R3: その分野を保護し進歩させるための保護対策が詳細に述べられていること。

R4: その分野は、出来うる限り広い範囲の関係する社会、集団、個人の参加を受けて

ノミネートされたものであること。

R5: その分野は、コンベンションのArticle 11と12に定義されているように、

提出する国のテリトリーに存在する無形文化遺産の資産に含まれていること。

(Article についての訳は割愛します。)

6.COM(政府間委員会による第6回会議)の決定

委員会は、【ファド】が、人類無形文化遺産の代表リストに記載される以下の基準を満たすものとする。

  • R1. 音と詩の多彩な表現。ファドはリスボンの街中にひそむ、帰属しているという気持ち、自分たちが何者であるかという感情を深めるものであり、ファドに従事する人たちは、若い世代の演奏者たちに、そのレパートリーを伝え、教え続けている。

  • R2: 代表リストにおけるファドが記されることによって、他の音楽ジャンル(国内・国外レベルを問わず)とより交流が深まり、それによって無形文化遺産の知名度・認知度が確実に高まり、異文化間の対話を促すであろう。

  • R3: 保護のためのさまざま対策については、支持者、地域社会、ファド博物館、文化省、その他地元や国内の関係当局などの足並みの揃った努力を示すもので、教育プログラム、調査、出版、実演、セミナー、ワークショップなどを通じ、長期に渡る保護を目指すものである。

  • R4: ファドの演奏家、歌手、詩人、歴史家、楽器職人、収集家、研究者、ファド博物館、その他の機関が、登録のプロセスにかかわった。

  • R5: ファドは、ファド博物館の展示目録に含まれている。その目録は、2005年に、公的もしくは私的な博物館や所蔵から幅広く収集したものまで含む財産目録にまで拡大された。

これをもって、ファド(ポルトガルの都市大衆歌謡)を人類無形文化遺産代表リストに記載する。

***

ここまで訳した後、今度はポルトガル側が提出した「ノミネーション・フォーム」の中身が

知りたくなりました。

選考基準の中にある、「Safegarding Measure」(保護対策)が知りたくなったからです。

どう保護していくのか、無形文化遺産の登録が、ファドの未来を決定するものであるなら、

そこは知る必要がありますものね。

では、次回をお楽しみに。待ちきれない方は、上記のリンクの中に、Nomination Formの

リンクがあります。Docファイル形式でダウンロードできるので、トライしてみてください。


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